iPadのSplit Viewで困っていないのに、なぜか戻ってきてしまう理由|考えを置いておける使い方

iPadのSplit Viewで困っていないのに、なぜか戻ってきてしまう理由|考えを置いておける使い方

※考えを扱う iPadシリーズ3回

直したはずなのに、終わった感じがしなかった

夕方と夜のあいだ。
食事は終わったけれど、片づけるほどでもない時間。
リビングの照明を少し落として、ひろとはテーブルに iPad を置いた。

特別に何かを調べたいわけじゃない。
仕事の続きでもない。
ただ、さっきまで開いていた画面が、そのまま残っていた。

Split View で、いくつかの画面が並んでいる。
Safari、メモ、ChatGPT。
どれも途中で、どれも完結していない。

「……これ、どうやって閉じるんだっけ」

陽菜が、画面をのぞき込みながら言った。

「上からスッてやると……あ、違うな」

Split Viewが開いたまま、考えを終わらせずに座るひろとと陽菜

直った。でも、終わった感じがしない夜。

ひろとも試してみる。
上にスワイプして、横に動かして、指を止める。
画面は動くけれど、思っていた“閉じる”感じにならない。

「一回ホームに戻るとさ、全部消えるんだよね」

陽菜がそう言って、ホーム画面に戻る。
並んでいたはずの Split View は、きれいに消えた。

「あれ……」

消えた、というより、
消えたように見えた

さっきまで考えていたことも、
途中だったメモも、
一緒にどこかへ行ってしまった気がする。

「戻し方、分かる?」

「いや……もう一回開けば出るんだけど」

またアプリを開き直す。
同じ画面を探す。
さっきと同じように並べ直す。

できないわけじゃない。
困っているほどでもない。
検索すれば、閉じ方も消し方も、きっと出てくる。

でも──
終わった感じが、しなかった。

操作が分からない不安というより、
考えが途中なのに、画面だけが先に終わってしまう感じ。

「直したはずなのにね」

ひろとがそう言うと、
陽菜は少し考えてから、うなずいた。

「うん。困ってるわけじゃないんだけど……」

それでも、
なぜか iPad は閉じなかった。

考えだけが、そこに残っていた。

直ったはずなのに、
ひろとは、もう一度だけ iPad に目を向けていた。

言葉で説明しようとすると、少し大げさになるけれど、
実際の画面は、こんな感じだ。

操作は分かる。でも、考えが終わった感じがしない。

iPadのSplit Viewで複数画面が並び、途中のまま表示されている状態。

Split View がうまく戻らない、閉じ方が分からない。
最初は、ただそれだけの話でした。

第1回では、
画面分割が「できない」「戻らない」と感じたときに、
何が起きているのかを整理しています。

👉 iPadのSplit Viewで考えが途切れる?|画面分割を直した“その後”の使い方とChatGPTの位置づけ

困ってはいない。でも、戻ってきてしまう

夜のテーブルで、画面を消したiPadのそばに座るひろとと陽菜

困ってはいない。でも、なぜか戻ってきてしまう。

困っていない、という感覚は、前と変わらない。
でも、行動だけが、少し違っていた。

Split View の設定は、もう直っている。
画面分割もできているし、動作に問題があるわけでもない。

使えないわけじゃない。
不便というほどでもない。
調べれば、やり方はいくらでも出てくる。

ひろとは iPad を閉じたあと、もう一度テーブルを見た。
さっきまでそこにあったはずの画面は消えている。
でも、考えまで消えたわけじゃなかった。

「困ってる、ってほどじゃないよね」

そう言いながら、ひろとは自分でも少し不思議に思っていた。
本当に困っていたら、もう少し焦るはずだ。
誰かに聞くか、ちゃんと調べるか、どちらかはしている。

でも今は、そうじゃない。

「うん。不便ではないんだけど……」

陽菜はそう言って、言葉を探すように少し黙った。

「なんか、戻ってきちゃう」

その一言で、ひろとは腑に落ちた。

そうだ。
戻ってきてしまう

何かを解決するために開くのではなく、
何かを進めるためでもなく、
ただ、さっきまで考えていた場所に、もう一度戻る。

閉じたはずなのに、
終わらせたつもりなのに、
考えだけが、きれいに片づいていない。

無料で足りている。
不満もない。
急ぎの用事もない。

それなのに、
iPad をもう一度開いてしまう。

Split View を閉じられなかったからではない。
閉じ方が分からなかったからでもない。

考えが、途中だっただけ。

ひろとは、さっき消えた画面を思い出す。
消えたように見えただけで、
何かを失ったわけじゃない。

でも、
「ここで終わりです」と言われたような感覚だけが、残っていた。

「使いたい、って感じでもないんだよね」

ひろとが言うと、
陽菜は少し安心したように笑った。

「うん。使ってる、ってほどじゃない」

それでも、
戻ってきてしまう。

この状態は、
困りごとでも、トラブルでもない。

ただ、
考えを終わらせる場所が、まだ見つかっていない
それだけの話だった。

だから、
答えを探していたわけでも、
誰かに相談しようとしていたわけでもない。

それでも、
次の夜も、
また同じ場所を開いてしまう。

そのことに、
ひろとは少しだけ、納得していた。

以前なら、用が済めば閉じていた。
それが今は、「用がないのに」戻ってきている。

ちなみに、
Split View の閉じ方・戻し方そのものを確認したい場合は、
操作だけをまとめたページもあります。

「まずは画面を元に戻したい」という人は、
そちらを先に見ても大丈夫です。

👉 iPadの画面分割ができない?|iPadOS 26の2画面表示と戻し方・直し方まとめ【2025】

さとしは、相談しているつもりはなかった

相談するつもりはなく、iPadを静かに眺めるさとし

答えを求めていないのに、考えは続いていた。

その夜、さとしは特別な用事があって iPad を開いたわけではなかった。

芽依を寝かせて、絵本を閉じて、
部屋の電気を少し落とす。
一日の終わりにやることを、順番に片づけただけだ。

食卓の上には、まだ片づけきれていないコップと、
端に寄せられた iPad があった。

閉じてもよかった。
しまってしまっても、何も困らない。

それなのに、
なぜかそのまま手に取っていた。

画面を開くと、Split View が残っている。
Safari、メモ、ChatGPT。
どれも途中で、どれも完結していない。

さとしは「相談しよう」とは思っていなかった。
質問を考えていたわけでもない。
答えが欲しかったわけでもない。

ただ、
考えの途中が、そこにあった。

昼間に見かけた記事。
メモに残した短い言葉。
意味があるのかどうかも分からない、
どうでもいいような疑問。

整理するつもりもなく、
解決する気もないまま、
画面を眺めていた。

一文だけ、打った。
たいした内容ではなかった。
送信するかどうか、少しだけ迷った。

それでも、送った。

すぐに返事が来たわけではない。
はっとする答えが返ってきたわけでもない。

それなのに、
画面の中の会話は、そこで終わった感じがしなかった。

「……続いてるな」

さとしは、そう思った。

芽依が寝返りを打つ音がして、
一瞬だけ iPad から目を離す。
様子を見に行って、
静かに戻ってくる。

それでも、
iPad は閉じなかった。

閉じ方が分からないわけでもない。
消えたら困るわけでもない。

理由は、はっきりしなかった。

続いているのか、
終わっていないのか、
自分でも、まだ分からない。

ただ、
今は閉じなくてもいい気がした。

相談しているつもりはなかった。
誰かに頼っている感覚もなかった。

それでも、
一人で考え続けている感じとも、少し違った。

何が起きているのかは、
まだ言葉にできない。

さとしは、
その違和感をそのままにして、
iPad をテーブルに戻した。

第2回では、
Split View を直したあとに、
「また考えられる状態」に戻った感覚を整理しました。

操作が分かって、
いったん落ち着いた人は、
そこで止まっても、まったく問題ありません。

👉 iPadのSplit Viewで考えが戻ったあと|“終わらせなくていい”という使い方

「止まらない」のは、性能じゃなくて距離感

主張しない位置に置かれたiPadと、落ち着いて座る二人

止まらないのは、性能じゃなくて距離感だった。

ひろとは、さとしの話を思い出しながら、
もう一度 iPad を開いた。

Split View は、また同じように並んでいる。
特別な設定をしたわけでもない。
速くなった実感があるわけでもない。

それでも、
画面を閉じようという気持ちにはならなかった。

「これさ、性能の話じゃないよね」

ひろとが、ふと思ったことを口にする。

「賢いから続いてる、とかじゃない気がする」

陽菜は少し考えてから、うなずいた。

「うん。便利っていうより……邪魔じゃない、って感じ」

邪魔じゃない。
その言葉が、しっくりきた。

すごく主張してくるわけでもない。
かといって、完全に消えてしまうわけでもない。

画面の端にあって、
視界には入るけれど、中心には来ない。

全画面に切り替えれば、ちゃんと一つの作業に集中できる。
でも、Split View に戻せば、
考えの続きをそのまま置いておける。

閉じ方が分からなくても、困らない。
画面が消えたように見えても、
「失った」という感じがしなかった。

戻し方を今すぐ覚えなくても、
考えまで消えるわけじゃない。

「止めようと思わないんだよね」

陽菜が、静かに言った。

「使い続けなきゃ、って感じでもないのに」

ひろとは、その感覚が分かる気がした。

止まらない、というより、
止める必要がない

速いからでも、
賢いからでも、
答えをくれるからでもない。

ただ、
考えとの距離が、ちょうどいい。

近すぎない。
でも、離れすぎてもいない。

必要なときだけ呼び出せて、
そうじゃないときは、そっと置いておける。

Split View という並び方が、
その距離感を、目に見える形にしてくれていた。

ひろとは、画面を閉じずに iPad を置いた。

「これ、止まらないんじゃなくてさ」

そう言って、少し間を置く。

「止めなくていい場所がある、ってだけかも」

陽菜は、それを聞いて、少し安心したように笑った。

「うん。それなら、無理に終わらせなくてもいいね」

この時点で、
何かを決める必要はなかった。

ただ、
今までとは少し違う位置に、
自分が立っていることだけは、
なんとなく分かってきた。

Split View 自体の仕様については、
Appleの公式サポートにも説明があります。

💡 iPadで複数のウインドウを同時に使用する(出典:Apple公式)

ただ、
操作として「正しいかどうか」よりも、
使っているときにどう感じるかのほうが、
このシリーズでは大事にしています。

無料のままでいい人と、少しだけ位置が変わった人

同じテーブルで話しながら、少し離れた位置にiPadが置かれているひろとと陽菜

無料のままで足りている。でも、立っている位置は少し違う。

まず、はっきりさせておきたい。

無料のままでいい人は、たくさんいる。
困ったときだけ使えれば十分な人もいる。
それは、何も間違っていない。

ひろとも、最初はそうだった。
分からないことがあったら調べる。
用が終わったら閉じる。
それで、何の不都合もなかった。

「無料のままでいいよね?」

陽菜が、いつもの調子で聞く。

「うん。全然いいと思う」

ひろとは、即答した。
ここに迷いはなかった。

でも、少しだけ間を置いて、続ける。

「ただ……戻ってくる回数、増えたかも」

それは、不足を感じたからではない。
もっと欲しくなったからでもない。

気づけば、戻ってくる回数だけが、少し増えていた。

無料のままでいい人は、
「点」で使う。

必要なときに開いて、
答えを見て、
終わったら閉じる。

一方で、
少しだけ位置が変わった人は、
「線」で関わる。

困っていなくても開く。
考えの途中で置いておく。
閉じなくても、そのままにする。

どちらが上でも、下でもない。
ただ、立っている場所が違う。

「じゃあ、今はその“途中”にいる感じかな」

陽菜がそう言うと、
ひろとは小さくうなずいた。

「うん。決めるほどじゃないけど、
前と同じ場所でもない」

このあたりで、
初めて名前だけが、ふっと頭をよぎる。

そういう使い方をする人向けに、
Go という名前を、どこかで聞いたことがある、ということ。

でも、
今すぐ調べなくていい。
比べなくていい。
申し込む必要もない。

今日は、
「そういう立ち位置がある」と
知っただけで十分だった。

「今日は決めなくていいね」

陽菜が言う。

「うん。位置が分かっただけで、だいぶ楽」

無料のままで足りている、という事実も、
少しだけ位置が変わった、という感覚も、
どちらも、そのまま並べて置いておけばいい。

Split View の画面みたいに、
無理に一つにまとめなくていい。

そのままにしておけることが、
この時点では、いちばんの安心だった。

また考えたくなったら、戻れる場所

完全には閉じず、少し距離を置かれたiPad

また考えたくなったら、戻ればいい。

それから少し時間がたった夜、
さとしは芽依を寝かしつけてから、
しばらくリビングに戻らなかった。

絵本を閉じて、
電気を少し落として、
ドアを静かに閉める。

一日の中で、
「今日はここまで」と区切れる時間が、ようやく来た。

テーブルの上には、iPad があった。
画面はまだ点いている。
Split View も、そのまま並んでいる。

閉じようと思えば、閉じられる。
しまってしまっても、何も困らない。

でも、さとしはそのままにした。

触らない。
入力もしない。
続きを進めるわけでもない。

ただ、
そこに置いたままにした。

考えが終わったわけではない。
答えが出たわけでもない。
何かが解決したわけでもない。

それでも、
今日はここまででいいと思えた。

閉じ方を思い出さなくてもいい。
消えたかどうかを確認しなくてもいい。
戻し方を今、覚えなくてもいい。

また考えたくなったら、
そのときに戻ってくればいい。

今日は、答えを出さなかった。
でも、変わり始めていることには、気づいていた。

Split View の画面は、
作業を進めるためのものじゃなくて、
考えを途中のまま置いておく場所だったのかもしれない。

一つにまとめなくていい。
終わらせなくていい。
消さなくてもいい。

さとしは iPad を伏せた。
完全に閉じるわけでもなく、
でも、少し距離を置く。

それで十分だった。

明日、
また考えたくなったら、
同じ場所を開けばいい。

そこには、
途中のままの考えが、ちゃんと残っている。

終わらせなくてもいい場所がある。
戻れる場所がある。

そのことに気づけただけで、
その夜は、少しだけ軽くなった。

まとめ|今日は、ここまででいい

静かな夜、伏せられたiPadと余韻だけが残るテーブル

終わらせなくてもいい場所が、ここにある。

Split View を直した。
操作も分かった。
困っているわけでもない。

それでも、
なぜか考えだけが、きれいに終わらなかった。

この第3回でやってきたのは、
「どう使うか」を決めることでも、
「どれを選ぶか」を比べることでもありません。

ただ、
いま自分が、どんな距離で考えと向き合っているのか
それを、そっと確かめてきました。

無料のままで足りている人もいる。
必要なときだけ開けば十分な人もいる。
それは、何も間違っていません。

でももし、

用がなくても iPad を開いてしまったり、
Split View を閉じなくなったり、
考えの途中を、そのまま置いておきたくなったり、

そんな小さな変化があったなら。

それは「足りなくなった」のではなく、
考えとの距離が、少しだけ変わった
それだけなのかもしれません。

今日は、決めなくていい。
比べなくていい。
調べ尽くさなくてもいい。

名前を知っただけでいい。
位置が分かっただけでいい。

また考えたくなったら、
同じ場所に戻ってくればいい。

Split View の画面みたいに、
閉じなくても、消さなくても、
そこに置いておける考えがある。

それだけで、
今日は十分です。

静かに閉じて、
続きたくなったときに、また戻ってきてください。

ここは、
終わらせなくてもいい場所です。

読者に感謝

またね。